”町の暮らしにしろ、僕の人生にしろ、
マフィア抜きには語れない。”
『マフィアは
夏にしか殺らない』
"La mafia uccide
solo d'estate"
Pif,クリスティアーナ・カポトンディ,
アレックス・ビスコンティ
2013/ピエルフランチェスコ・ディリベルト
イタリアのシチリア島。
パレルモに生まれた
男の子の半生を
描いたお話。
冒頭、登場するのは
青年の姿の主人公。
パレルモという都市は
長年マフィアと
ゆかりのある土地なのだ、
ということを教えてくれます。
そこから
いきなり舞台は
1969年へ。
そして両親の結婚初夜から、
つまりアルトゥーロ少年が
創られた瞬間から描かれます。
なんとその同時刻に
両親の愛の巣の真下で、
マフィアが銃撃事件を
起こしたのでした。
さて、そして生まれた
アルトゥーロ。
初めて発した言葉は
”ママ”でもなく、
”パパ”でもなく、
”マフィア”(笑)
小学校に上がった
アルトゥーロは
転入生フローラに恋をしたり、
当時のイタリア首相である
アンドレオッティに傾倒したり、
文才を認められて子供記者として
政治家を取材したりします。
しかし
一見、充実した小学生な
アルトゥーロの生活にも
マフィアの影響は
そこここにあったのです。
パレルモに巣くう
マフィアたち。
その支配力は
政治・法曹界にまで及び、
邪魔者は次々と消されていった。
だけど連日テレビや新聞で
誰かの死亡が報じられるのに
大人たちはけっして
マフィアの仕業だとは言わない。
尋ねても笑ってはぐらかされちゃう。
不思議がるアルトゥーロ。
この映画はあくまで
コメディータッチだけど、
観ていくうちに
こっちにもわかってくる。
アルトゥーロ
を通して
パレルモと
マフィアの歴史を
描いているんだ、
ってことが。
銃撃・爆破事件、
要人の葬儀の様子や
民衆の暴動など、
当時の実際の映像を
挟み込んでいるのがいいんです。
『ボビー』を思い出した。
▼観る価値のある映画です。
zuzz.hatenablog.com
まったく期待してなかったわりに、
観ごたえがあってびっくり。
もしもこれが単に
マフィアのことだけを
描いた映画だったら
ぜったいに
観てなかった。
こういう作りで
入りやすくすることで
楽しく学べた気がする。
このディリベルトって
監督はいい仕事してくれたな…と
調べてみたら、
なんと
主人公(青年期)を演じた
Pifと
同一人物!
しかもパレルモ生まれ。
この作品は彼の半生を
綴ったものだったんだな。
ノンフィクションと
フィクションの間。
絶妙な位置にある
不思議な映画です。
それにしても
青空の下、
レモンの木の
並ぶ場所で
マフィアが
食事するシーン…
ちょっとうらやましかった。
あんなとこでごはん食べたら
気持ちいいだろうなぁ…
【おまけ 1】
イタリアやドイツ、
フランスでは
挙手のジェスチャーが
日本と違います。
ヨーロッパの映像作品を
よく観る人は思い出すはず。
人差し指で
”一番”の形を
ゆるく作るのだ。
五本指での挙手だと、
連想させるからなんだって。
海外旅行で
タクシーを呼ぶときや
レストランで給仕を呼ぶときは
気をつけましょうね!
【おまけ 2】
シチリアの
伝統菓子として
映画の中に
出てきたイリス。
「イリスはうまいが、
口の周りが汚れるんだよなぁ」
と話しかけてきた
ジュリアーノ警部。
アルトゥーロがイリスを
食べたことがないと知るや
パレルモ民なのにそりゃいかん!と
おごってくれるんです。
どんな味がするのか気になる…
探したらあったあった!
▼「チョコとリコッタが溶け合うだろう?」
って警部さんが言ってた。
www.youtube.com
こっちは
ちょっとおしゃれなイリス。
▼私が楽天市場で買ったもの載せてます!
こっちは
癒されるイタリア
こんなのもあります