「腐ったリンゴが4個でも5個でも
関係ありません。
比率で言えばたいした違いはないし」
『アパートの
鍵貸します』
"The Apartment"
ジャック・レモン,シャーリー・マクレーン,
フレッド・マクマレイ
1960/ビリー・ワイルダー
1959年、
ニューヨーク。
副業で大忙しな
独身サラリーマンの
楽しくもほろ苦い
ラブコメディー。
1959年11月1日 現在、
ニューヨークの人口は
804万2,783人。
一列に並べると、
パキスタンのカラチに到達する。
僕が数字に強いのは、
保険会社に勤めているからだ。
※冒頭ナレーションより
入社4年目の
C・C・バクスターが
所属するのは、
19階 普通保険部の
保険料計算課だ。
勤務時間は08:50~17:20。
なんでこんな
中途半端な時間かというと、
巨大なビルのワンフロアに
ものすごい数の従業員が
ぎっしり詰められているから!
”16基のエレベーターで
社員をさばけるよう
階ごとに時差出勤”
しているらしい。
すごい!
さすがアメリカ…
さて。
バクスターはいつも
1~2時間ほど
残業しています。
Q.なぜ?
A.バクスターの家を
他の人に
貸しているから。
Q.なぜ?
A.バクスターの会社の
お偉いさん達が
奥さん以外の人と
会うために使うから。
つまり火遊びの密会用に
提供しているわけですね。
帰りたいときに帰れないし、
帰ったら家はグチャグチャ。
鍵の取り違えで
閉め出しを食うこともあるし、
お隣りさんには
遊び好きで
大酒呑みのお盛んな人として
誤解されちゃったりもする(笑)
そんな昼間は保険会社社員、
夜はホテル業のバクスター。
彼の”副業”は大忙し!
毎日いろんな部署の
課長や部長の予約で埋まってます。
体調不良で
一晩ゆっくり休もうと思っても、
一人ずらせばまた一人にしわ寄せが。
熱で苦しむ
予約リストのページと
にらめっこしながら
関係者各位に
宿泊取り消しの
お伺いをたてるシーンが
おもしろすぎる(笑)
お偉いさんも
「水曜はダメなのか?
じゃあ議事日程を変えんとなァ…」
なんて言っちゃって。
議事日程(笑)
やっと日程調整がとれて
落ち着いたのもつかの間、
今度は呼び出しが。
なんと人事部の
シェルドレイク部長からだ。
きっと昇進の話だ!と
ちょっと気になる存在である
エレベーターガールの
フラン嬢に自慢しつつ
部長の部屋へ駆けつけるバクスター。
「君は評判がいいな。
ドービッシュは”協力的”と」
「ドービッシュさんがそんなことを?」
「カークビーは
”一週間の内に度々 残業を”と」
「仕事がたまるもので」
「渉外課のヴァンダーホフと
貸付課のアイケルバーガーが
どちらも君を欲しいと言っている」
「とても光栄です」
「バクスター、教えてくれ。
どうして君はそんなに人気者なんだ?」
「わかりません」
「考えろ」
「なぜ私にそんな質問を?」
「バクスター、私はバカじゃないぞ。
会社で起きていることは、
どの部署だろうがどの階だろうが
年中すべてお見通しだ」
部長は突然、
過去に社内でノミ行為を働いて
捕まった社員の話をし始める。
バクスター、
やばいぞ…
これはお叱りからの
クビコースか…?
そしてシェルドレイク部長、
唐突にバクスターに
自分は今日用事があるから
映画のチケットと交換しよう
てなことを言い出す。
いや、今日はカゼなので
家で休みたいんですが…交換?
となるバクスターに、
部長はさらにたたみかける。
「報告書には機転が利いて
察しがいいとも書いてあったが」
ハッとして
鍵を取り出すバクスター。
あんたもかーい!!
そんなこんなで
上司達からは使える奴として
ひっぱりだこのバクスター。
そのプライベートを犠牲にした
サービス精神が実を結び、
めでたく
総務部第二係長に
昇進したのでした。
自分専用の部屋に
感激する彼に、
腐ったリンゴ達…じゃなかった、
密会の宿の顧客…じゃなかった、
後援会の会員達…じゃなかった、
例の上司達も
お祝いに駆けつけてました(笑)
ビリー・ワイルダー監督の
作品を観るのは二度目。
▼これも最高!ほんとおもしろいよ!
zuzz.hatenablog.com
50年以上経つ映画なのに、
軽快で洒脱。
びっくりする。
ユーモアたっぷりで
クスッと笑えて、
観終わったあと、
さわやかな
気持ちになれる映画です。
【おまけ】
チャーミングなフラン嬢を演じた
彼女の娘は
サチ・パーカー。
フライトアテンダントの
経験もある才媛。
日本で暮らしたこともあり、
親譲りの親日家でもあるサチは
四か国語に堪能なのだそう。
『西の魔女が死んだ』に
おばあちゃん役で
出演してます。
▼サチの名付け親は
”小森のおばちゃま”こと小森和子!
www.youtube.com
▼買ったもの載せてます!