『ナショナル・
ストーリー・
プロジェクト』
"National Story Project"
ちょっと前に
アメリカの作家
制作にたずさわった
『ブルー・イン・ザ・フェイス』
という映画を紹介しましたね。
『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』
という本は、
彼が一般から募ったエピソードを
集めたものです。
ルールは
"実話であること"。
彼がラジオで呼びかけたところ、
4000ものエピソードが
寄せられたらしい。
オースターは
それらすべてに目を通し、
これはと思うものを放送で朗読。
そしてさらに厳選した作品を
本にして世に出したというわけ。
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誰にだって
自分しか知らない
とっておきの話がある。
芸能人でも政治家でもない
名もなき人々のエピソード。
その一つひとつが
なんと
みずみずしいことか…
ドラマチックだったり、
せつなかったり、
鳥肌が立ったり。
こんな機会がなければ、
この人たちは
自分のストーリーを
胸に秘めたままだっただろう。
オースターと奥さん*1のおかげで、
世界の片隅に住む私も
こうして名もなき人たちの
人生のひとかけらに
ふれることができた。
この世に
同じ人間は
またといない。
自分の人生では、
みんな
主人公だ。
この本は2001年、
あの9.11
同時多発テロ事件の
二日後に刊行された。
もう23年前。
老若男女の
ありとあらゆる話を
読むにつれて、
人種のるつぼアメリカが
なんとなく見えてきた。
ふと、
ホームレスの女性
B.Cさんのことが
気になった。
ホームレスと言っても
彼女の場合、
早期退職後に家財道具を売り払い、
わずかな配当金で
コンパクトで有意義な生活を
追求した結果だ。
授業料を払っている大学で
シャワーを使い、
私書箱や
レンタル収納スペースを活用。
図書館で本や音楽を楽しみ、
アマチュアの劇団の芝居を
堪能していた。
もう彼女は80歳を超えたはず。
その後どうなったんだろう?
生きていれば
出会いがあるし
別れがある。
苦い体験もすれば
心躍る出来事や
不思議な出来事にも遭遇する。
一生に一度の、
運命としか言いようのない
エピソードもいくつかあり、
鳥肌が立った。
この本を読むと、
人生は
たくさんの
めぐり合わせで
できているのだと
思わずにはいられない。
長い短いに関係なく、
出会いも別れも
私たちに
何かを教えるために
もたらされるんじゃないかって。
自分に起きる
すべてのことには
意味があるんだ、きっと。
いくつもの
人生のハイライトが
詰まって
何本もの映画を
観たような、
そんな気分に
なれる本でした。
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*1:奥さんこそ、この企画の発案者なのだ。
