「好きなものを10個挙げてみてごらん」
『素敵な人生の
はじめ方』
"10 ITEMS OR LESS"
モーガン・フリーマン, パス・ヴェガ,
ボビー・カナヴェイル
2006/ブラッド・シルバーリング
老いた俳優と
若いスペイン女性の
ほっこりストーリー。
名の知れた存在ではあるけれど、
4年映画に出ていない俳優。
そんな彼に
スーパーマーケットの店長役をと
低予算映画のオファーがきた。
知名度もない監督の映画だから
復帰作としてはパンチが弱い。
まだオファーは承諾せず
あくまで”役作りの下見”という形で
舞台のスーパーを訪れる。
古くてお客もほとんどいない
そのスーパー、
よほどヒマなのか
レジ係のギャルは
マニキュア塗ってるし、
精肉売り場のあんちゃんは
うつぶせになってやる気なし。
だけど
”10品以下専用”のレジ係
スカーレットはちがう。
レジが故障したら
暗算できるし、
客に言いたいことも
はっきり言える。
リサーチは終了したものの
迎えの人間にすっぽかされ
携帯電話も現金も忘れて
帰れない俳優に
あきれつつもほうっておけず
スカーレットは
送ってあげると申し出て…
■□■□■□■
アメリカの映画なんだけど、
舞台となった地区が
ヒスパニック系が多い町って
設定だからか
スーパーの至るところに
スペイン語が見られる。
地元にも昔あったのよ、
ガラガラのスーパー。
夜ともなると
ぜんぜんお客さんがいなくて
店員もヒマそうにしててさ。
でも妙に落ち着くんだよね。
あれを思い出して
なつかしくなっちゃった。
なにしろ
この邦題。
私は
映画の原題にありもしない
”幸せ”とか”素敵”とかいう
女子受けワードを
ぶっ込むやり方に
もやもやしたものを
感じるんですよね…
これもモーガン・フリーマンが
出てなかったら
ぜったい手に取ってない。
いや、しかしですよ!
これがあなた
とんだ食わせもの!!
観てみたら
しみじみいい映画
だったんです。
聖なる力で地球を救うわけじゃない。
豪快なアクションがあるわけじゃない。
美しい永遠の愛を描いてるわけじゃない。
だけど、いい!!
この話は
主人公たちにとって、
たった数時間の出来事です。
思いがけない
出会いがもたらす
ほんのひととき。
長い人生を本にするなら
1ページ、
ヘタすれば数行のこと。
家族でも
恋人でも
友だちでもないし、
一緒に過ごしたのは
ほんのつかの間なのに、
あとになってふっと
思い出すような人って
たまにいるよね。
付き合いの長さより、
相性というか。
波長が合うから、
こういう人とは短くても
密度の濃い時間を
過ごせるんだと思う。
そんな相手に
私はあと何人会えるんだろう?
ちょっと考えてしまった。
そして
モーガン演じる
おじいちゃん俳優が、
とにかく好奇心旺盛!
スーパーの副店長に
くっついてマネっこしたり、
激安スーパーで
服の安さに感激したり、
ガソリンスタンドで
クルーのおじちゃんたちと
ダンスしながら洗車したり。
なんか子どもみたい!
観てて思ったんだよなぁ。
人生を楽しむって
こういうこと
なんだなって。
観たあとの晴れやかさ!
やっぱり映画っていうのは
こうでなくっちゃね!!
そしてこれ、
エンドロールも
きちんと観てね!
あとで調べたら、
プロデューサーに
モーガンの名前があった。
モーガンおじいちゃん、最高!!
たいへんけっこうなお手並みでした!!
好きなものを10個、
きらいなものを10個、
挙げてみたくなる
映画です。
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【おまけ その1】
映画に出てきた
トレーラーハウス。
向こうじゃ
"mobile home"って
呼ぶんだって。
小さなお城。
こういうので
いいんだよ…
なんかあこがれる!
【おまけ その2】
スーパーがあった舞台は
カリフォルニアの
カーソン。
そして
俳優の住む
ブレントウッドは
こんなところ。
あと二人が
買いものに行った場所は
ターゲットっていう
チェーンらしい。
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