「しかしすごいことになるもんだな。
今死んだと思ったら
もう葬式の段取りだもんな」
『お葬式』
山崎努,宮本信子,財津一郎,菅井きん,江戸家猫八,
大滝秀治,尾藤イサオ,奥村公延
葬儀という
一大行事を
クローズアップした
コメディータッチの
映画です。
▼予告編のナビゲーターは
二代目三遊亭小遊三とシャーリー富岡*1
▼前に紹介した伊丹監督作品
zuzz.hatenablog.com
義父の訃報を聞き、
俳優の侘助は
女優である妻千鶴子と家族、
そして
マネージャーの里見と共に
義母のいる
伊豆の家*2へと駆けつける。
初めての葬儀は
わからないこと
だらけ。
里見「棺桶、注文しといたからね。
13万だって」
侘助「13万ねぇ…
高いんだか安いんだか見当がつかないなぁ。
今夜 お通夜ってことになると、
何か食べ物がいるなぁ。
お寿司か何か
注文しといた方がいいんじゃないのか」
千鶴子「お寿司、何人前?」
侘助「さぁ…20人前かな」
千鶴子「20人前?多すぎない?」
侘助「だって、お通夜になって
途中で食べ物がなくなったら惨めだろうぜ」
千鶴子「そりゃそうだけど」
葬儀会社の人に聞いたり、
『冠婚葬祭入門』なんてビデオを観て
送り出す側の心得を学ぶ侘助夫婦。
こんなカンジで
一同は手探りで準備を進めていくのだ。
諸手続きと葬儀の手配をして、
親戚・知人に知らせる。
これくらいは
私でもわかるんだけど、
僧侶が来たらどうするか?
お布施は?
などなど
葬儀は地域や宗派によって
段取りがちがうのがおもしろい。*3
”第一日”
”第二日”
とチャプター分けされているので
観る側にとってはたいへん勉強になる。
親族・関係者の動きを追った
ホームビデオ映像が挟み込まれるのも
ほほえましい。
お経の長さに足がしびれる、
親戚の子どもが騒いでうるさい、
などの葬式あるあるも
随所にちりばめられてます(笑)
■□■□■□■
そういえば、
あれも葬儀のお約束だよね。
訪ねてきた人たちが
急に神妙な顔つきになって
「このたびは突然のことで…」
って”決まり文句”を口にするの。
言った方も言われた方も
そのあとはうって変わって
笑顔で話しだすのが
小さい頃から
不思議でしょうがなかったっけ。
とにかく観といて損はない。
楽しく学べる
お葬式の
映画です!
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▼映画制作の裏側をうかがえる一冊!
【今日の知ってる人】
★三代目江戸家猫八
葬儀屋の海老原さんは
二代目中村吉右衛門版の
『鬼平犯科帳』で
相模の彦十をやってました。
★笠智衆
小津映画のお父さんと言ったらこの人。
実家がお寺だからか
お坊さん姿がしっくりくる(笑)
▼2:56に登場。
それにつけても1:14の佐田啓二*5のカッコよさよ…
★佐野浅夫
ある時は童話作家、
ある時は実業家、
しかしその実体は…
恐れ多くも
前の副将軍
であらせられるぞ!
▼皆の者 頭が高い、頭が高いぞ!
★加藤義博・中村まり子
このお二人は
『12人の優しい日本人』で
調子のいい陪審員12号と
メモ魔の陪審員5号を
それぞれ演じてました。
▼『12人の優しい日本人』回
zuzz.hatenablog.com
★井上陽水
意外なところで
意外な役で出てきます。
▼”風あざみ”って響きが好き。
こんな造語をわざわざ使うとこが
陽水のワケわからなさを現してるよね。
こちらもどうぞ
▼買ったもの載せてます!
*2:実際に伊丹十三の持ち家であるログハウスが出てきました。
*3:しかし私はセレモニー嫌いなんです…
▼ここでもお話しましたね
zuzz.hatenablog.com
*4:ご存じ音楽の父こと、音楽室に飾ってある白いカツラの太ましいおじさんこと、バッハ(ヨハン・ゼバスティアン・バッハ)の楽曲。またの名を”管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068 第2曲”。
”Air auf der G-Saite”
ちなみに私はバッハのシンプルでおカタいピアノ曲が好きです。叙情的なショパンやきらびやかなドビュッシーもいいけど、あの端正な音の粒のつながりが、聴いててなーんか気持ちいいのだ。
”BWV 870 WTC 2.1
Prelude In C”
▼ヴァレリー・アファナシエフの
平均律クラヴィーア曲集。
父から借りてハマった一枚です。
*5:”ミキプルーン”こと中井貴一のお父さん。小津映画では常連。
*6:三代目の黄門様である!