「きれいな庭だろう。
もう100回は描いたよ」
『田舎の日曜日』
"Un dimanche à la campagne"
ルイ・デュクルー,ミシェル・オーモン,サビーヌ・アゼマ,
ジュヌヴィエーヴ・ムニック,モニーク・ショメット,
1984/ベルトラン・タヴェルニエ
1912年、フランス。
夏の終わりの日曜日に
集まった、
ある家族のお話。
広い庭、広い屋敷。
主は老いた画家ラドミラルだ。
愛する妻を亡くしてからは、
働き者の家政婦メルセデスと
なんとかうまくやっている。
今日は日曜日。
長男ゴンザグ夫婦と孫たちが来る日だ。
しかしその日は思いがけず、
長女イレーヌも帰ってきた。
できる限り訪ねてきてくれる
まじめな兄ゴンザグと違い、
妹の彼女はめったに顔を見せない。
しかしラドミラル氏のお気に入りは
気まぐれで奔放なイレーヌなのだった。
■□■□■□■
前触れもなく突然やってきて
周りの者たちすべてを
自分のペースに巻き込んでゆく
突風みたいなイレーヌ。
自分の人生だから
やりたいようにやる。
人のことは気にしない。
いるよね…こういう人*1(笑)…
最後までの8分間がとてもよかった。
みんなを駅まで見送って、
ラドミラル氏が
ひとり家に戻るシーン。
しわだらけの手を見つめる、
なんとも言えないその表情。
家族であっても、
ずっと
一緒にはいられない。
子供は成長するし、
親は老いてゆく。
時が来れば
一人また一人と旅立ってゆく。
帰って来る者もいれば、
永遠に戻らぬ者もいる。
そして家には、
思い出だけが残される。
サンルームでの食事。
暖炉の火で鳥を焼く場面*2。
ほんのつかの間でも
しあわせな時間が
流れていたのだとわかりました。
私も年を取って、
ああいうひとときを
かみしめるようにして
味わうときがくるのかな。
あとね。
この映画、
死んだはずの妻の姿が現れたり、
妄想が具現化したりと
ときどき変化球があって
あきさせないんです。
そして登場人物も含め、
どこを切り取っても
絵画のよう。
画集のような
映画です。
「たいした世界じゃないが、
それでもわしのものだ」
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【おまけ】
思えば
子どもたちの歌声、
おじいちゃんの歌声、
家政婦さんの歌声。
ラドミラル家には
歌声があふれていました。
"Le Temps des cerises"
邦題”さくらんぼの実る頃”で
おなじみのシャンソン。
この曲が出てきておっ!と思った。
フォーレのクラシックが
せせらぎのように
優しく流れていたのが忘れられない。
”ピアノ五重奏曲第2番”。
きゅうっと胸が切なくなる旋律です。
Gabriel Fauré
"Piano Quintet No. 2 in C Minor, Op. 115"
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▼買ったもの載せてます!
*1:うちのおばあちゃんがまさにこのタイプなのよね…本人はいいんだろうけど私は正反対の性格だから、はたで見ててほんとにハラハラするんですよ…
*2:ふと、ターシャ・テューダーのドキュメンタリーを思い出した。おなじシーンがあったから。
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