「まるで別の世界。
毎日お洗濯やお掃除や、
市場通いばっかり」
1951/成瀬巳喜男
戦後復興
真っただ中の
昭和26年、大阪。
倦怠期を迎えた
とある夫婦の物語。
\1度はスクリーンで観ておきたい/
— 神保町シアターのひと (@jinbocho123) 2023年4月15日
★本日13:15~
成瀬巳喜男監督
『めし』
昭和の日本映画界の至宝・原節子×加山雄三の父で戦前からのスター俳優・上原謙主演。倦怠期を迎えた夫婦のすれ違いを描いたホームドラマ。「妻」として生きる女性たちの生きずらさも描かれ、女性映画としても楽しめる1本。 https://t.co/xOonoZphny pic.twitter.com/VNn9w9UK2d
東京で周囲の反対を押し切って
結婚してから五年目。
大阪へ夫の勤め先が変わってから三年目。
あの頃、
私を支えていた希望や夢は
何処へ行ったのだろう。
夫が食卓の前に座っている。
私が味噌汁の鍋を運ぶ。
昨日も今日も、明日も。
一年三百六十五日、
同じような朝があり、
同じような夜が来る。
台所と茶の間と女の命は
やがてそこに虚しく老い
朽ちてゆくのだろうか。
※冒頭ナレーションより
岡本家は
初之輔と三千代の
夫婦二人、
猫一匹の長屋暮らし。
結婚したら、
家庭ができる。
家庭ができたら、
働いたお金で
暮らしていかなければならない。
互いに見つめ合っていれば
満足だった時期はとうに過ぎ、
二人には
生活という
現実があるだけ。
夫は仕事へ行き、
自分は家事をする。
ひたすら
その繰り返し。
日々を送るなかで、
自らの人生について
疑問を感じだした三千代。
そんなある日、
縁談話がいやで家出した
夫の姪里子が
転がり込んでくる。
自由気ままに居座る彼女に
夫婦の生活はかき回され…
■□■□■□■
原作は
林芙美子の
未完*1の小説。
これを川端康成の監修で
成瀬巳喜男が監督しました。
とにかく
里子の無邪気さ無神経さに
腹が立つやら
あきれるやら。
誰とでもしゃべれるけど
実は人見知り*2の私としては、
このテの
誰かがおしかけてきて居候する話
ってホントにヤキモキさせられる。
いつまで
居座るつもり!?
って。
近所の奥様方によく思われていない
二号さん*3や
軽薄な若者たち、
それぞれの人生を送る
妻の友人たち…
そんな人々も描かれています。
林芙美子が書き上げずに
逝ってしまった作品だけに、
そのラストは賛否両論あったみたい。
だけど私には腑に落ちる映画でした。
今回は
成瀬巳喜男監督作品を
続けて3本観ました。
-----✂----
「そんな馬鹿な事言うもんじゃないわよ、
他人なんて」
『女の座』
高峰秀子,杉村春子,笠智衆,三益愛子*4,草笛光子,
司葉子,小林桂樹,星由里子,淡路恵子,三橋達也,
団令子,北あけみ,宝田明,夏木陽介
1962/成瀬巳喜男
老若男女
さまざまの、
ある一族の物語。
本日『女の座』が満席でびっくりしました。ご入場いただけなかったお客様にはお詫び申し上げます。同じく成瀬巳喜男監督作品で明日から上映スタートの『娘・妻・母』も出演者がややかぶり+原節子さんもご登場ですので、こちらもよろしくお願いいたします。https://t.co/BfhVCHujk5 pic.twitter.com/eYNjAHGghS
— 神保町シアターのひと (@jinbocho123) 2018年6月1日
荒物屋を営む父が倒れ、
息子や娘が集まった。
容態は特に心配することはなく
ひと安心だったが、
あわてて電報で九州から呼び寄せた
三女がそのまま夫と
居ついてしまったからさあ大変。
娘には縁談話が舞い込み、
孫は進路に悩み、
婿は職探し。
一つまた一つと
厄介事が
持ち上がり…
■□■□■□■
誰もが
自分の人生を
生きようと必死で
他の人のことまで
考えていられない。
誰かのことを
思って何かをしても、
相手にその真意が
伝わらないこともある。
これが家族、
それも一族となると
また複雑にこじれてしまうのよね…
おそろしや
おそろしや。
-----✂----
「でもあなたっていいわね。
ムシャクシャしたら
こうやって
帰って来れる所があるんだから」
『娘・妻・母』
三益愛子,原節子,高峰秀子,草笛光子,
淡路恵子,森雅之*5,笠智衆,杉村春子,
仲代達矢,加東大介,宝田明,団令子,上原謙
1960/成瀬巳喜男
それぞれの
視点から
描かれた
一族の物語。
ケンカして嫁ぎ先から
家出してきた長女。
しかし帰って来たのもつかの間、
夫が事故死したと知らせが入る。
もともと向こうの家とは
折り合いが悪いうえに、
肝心なときに不在なのも良くなかった。
長女は出戻りの形で
実家に帰って来ることに。
長男とその妻、
次女とその夫と姑、
カメラマンの次男とその妻。
ちゃっかり者の三女…
それぞれの
家族の事情が
複雑に
絡み合ってゆく…
■□■□■□■
スターの競演というのに加え、
誰にも身近なテーマであろう
家族ものということで
大ヒットしたのもうなずける。
お金のことだったり
人間関係のことだったり、
どの一族にも一人はいる
トラブルメイカーのことだったりと、
家族が多いだけ
悩みも生まれるものだ。
野次馬根性というか、
よその家のもめ事って
気になるもんな。
ホームドラマでも嫁姑問題は
たいていヒットするし。
つまりそれほど家族の問題で
苦労している人が
多いということなんだろう。
だからこそ
家庭で起きる様々な問題が
垣間見られる
橋田寿賀子ドラマが
昔から支持されたわけだよな…
【今日の知ってる人】
★高峰秀子
子役でブレイクして
芸歴の長い高峰さん。
50年代にはお嫁さん役が
すっかり板についていました。
▼ここではまだ十代でした。
★上原謙
加山雄三の父親
としてもおなじみの
二枚目俳優上原さん。
このブログでは
『家庭日記』でご紹介しました。
★原節子
小津映画では
監督のミューズとして
絶対的な存在だった原さん。
『めし』の彼女は
小津映画では考えられないほど
所帯じみたキャラです。
それを観るのもまた一興。
★杉村春子
三千代の母親を演じたのは、
大御所杉村春子先生。
小津映画ではだいたい
ズケズケ言う強めのキャラだけど、
ここではやわらかめなお母さん。
★小林桂樹
妹の夫を演じていました。
この人がまた
いい仕事してくれるんです!
よく言った!と
拍手してやりたかった。
小林さんは
ジブリ映画の
『耳をすませば』で
聖司のおじいさんの声を
当ててた人です!
こちらもどうぞ
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