大正時代、
少女雑誌で
リリカルかつドラマチックな
物語を紡ぎ出しては
全国の乙女たちを
魅了し続けた作家
吉屋信子。
主人公が吉屋作品を
愛読していたのが、
彼女を知るきっかけでした。
どうしても読んでみたくて
さがしにさがしたっけ。
- 価格: 1045 円
- 楽天で詳細を見る
- 価格: 1045 円
- 楽天で詳細を見る
しかし悲しいかな、
少女小説界にこの人ありと
謳われながら、
今現在手に入る
書籍の少なさよ…
三つの花 少女小説 (吉屋信子少女小説選) [ 吉屋信子 ]
- 価格: 2090 円
- 楽天で詳細を見る
電子書籍や古本じゃいやなのよね…
ぜひとも復刊していただきたい!
彼女の作品は映像化もされています。
ありがたいことに
著作権保護期間が過ぎ、
著作権がなくなった昔の映画は
気軽に観られるようになりました。
今日はそれをちょこっとご紹介。
⚘⚘⚘⚘⚘
『花つみ日記』
1939/石田民三
父の仕事の都合で
東京から大阪へ転入してきた
みつるは、
面倒見のいい
栄子から声をかけられ
しだいに心を通わせてゆく。
※千人針*2が出てきました。
とりとめもなく
おしゃべりしたり、
ちょっとしたゆきちがいで
気まずくなってしまったり。
自分にも覚えがある、
この年頃にありがちな
若さゆえのあれやこれや。
笑いさんざめき、
朗らかに歌う
少女たちの姿がまぶしかった。
ただひたすら、ただひたすら
少女のひたむきさに
むせび泣く私でありました。
(ウソです。
吉屋信子女史の本に感化されると、
こんなのじゃおさまらないくらい
文章表現がオーバーになりがち。
でもそれがまた楽しいのだ♪)
⚘⚘⚘⚘⚘
『雪子と夏代』
1941/青柳信雄
少女時代からの親友同士であり、
皮肉なことに
共に夫に先立たれた境遇を持つ
雪子と夏代。
雪子は自分の店を、
夏代は幼い息子を守るために
奮闘する…
当時、女性がお金を稼ぐ手段として
スタンダードだった針仕事。
この時代にはすでに
ミシン*3が導入されていたので
この映画にも出てきます。
慎ましい共同生活の中で
支え合う二人の姿。
美しい友情ですなぁ…
⚘⚘⚘⚘⚘⚘
『花』
1941/吉村公三郎
亡き父の興した
華道一門の看板を背負い、
一心に励む梢。
しかし突然訪れた不幸により、
彼女の人生は大きく翻弄される…
とにかく昼ドラのような展開。
流れていたのが印象的だった。
気丈にふるまっていても
心の中は葛藤している梢に、
凛としていても
水の下で必死に足を動かす
白鳥の姿を重ねてしまった。
”病あれば花に癒すべし
家なくば花に住むベし
災い来たらば花に逃るべし”
⚘⚘⚘⚘⚘
『家庭日記』
1938/清水宏
頭で決めた結婚か、
心で決めた結婚か。
二人の青年は
それぞれ伴侶に選んだ女との
結婚生活をスタートさせる。
やがてそれが
双方の家庭を巻き込む一騒動に
発展してしまうとも知らずに…
昔も今も変わらない。
人間関係って、
けっきょくは
相性だよね。
⚘⚘⚘⚘⚘
暗いニュースばかりで
人々の心もすさみがちになって、
なんだかとっても
生きにくい世の中になってしまった。
今回こうして
昔の映画を観てみてよかった。
思いやりや
人と人との繋がりが
どんなに助けになるかを
教わった気がします。
それから
ついつい忘れがちだけれど、
丁寧な日本語を
大事にしなくては。
あとはこれですね。
乙女たちよ、
清らかであれ…
をはり
▲『花つみ日記』の最後に出た
"THE END"の表記。
【おまけ 1輪目】
昭和16年に公開された
『花』で
こんなセリフが出てきました。
「紅茶がいいな」
「ああ、リプトンテーがあったろ」
「ティーだよ、お母さん」
リプトンティー、
この頃にはもう
日本に
入って来てたんだ!
- 価格: 300 円
- 楽天で詳細を見る
調べたら輸入開始は
明治39年らしい。
ハイカラねェ…
リプトンの紅茶は
19世紀末に
生まれました。
ビジネスセンス抜群の創業者が
食料品店から一代で築き上げた
ブランドはたちまち王室御用達に。
ティーバッグ製法に
いち早く目をつけて取り入れたのも
のちの市場拡大に役立ったみたい。
わが家も昔は
忙しい朝に簡単に作れる
リプトンの紅茶を愛飲していました。
ネスレのミロや
森永のココアと同じく、
[rakuten:zagzag:10066615:detail]
幼い頃を思い出す
なつかしい飲み物です。
【おまけ 2輪目】
『花つみ日記』に
出てきたセリフ。
「ね、この中原淳一(の絵)、
誰かさんに似てない?」
まさか実在の
イラストレーターの
名前が出るとは!
中原淳一といえば
雑誌『少女の友』で
可憐なイラストを
担当していただけでなく
デザイナーやスタイリストなど
多才ぶりを発揮し、
果ては
外見だけでなく内面も磨きましょう
と、アドバイスまでもしていた
夢見る乙女たちの導き手。
[rakuten:book:18351613:detail]
そして同じく『花つみ日記』で
少女たちの憧れ
梶山先生を演じたのは
葦原邦子。
私は葦原さんといえば
ふっくらして大衆的な
おっかさんの
イメージなんだけど…
若いときの写真を見て
ひっくり返りました。
宝塚時代の愛称がアニキってのは笑った。
この人がかつて
宝塚のトップスタァだったことも、
そのあと中原淳一の
奥さんになったことも知らなかった。
高い志を持った二人が
夫婦になったんですね。
勉強になりました。
【今日の知ってる人】
『雪子と夏代』の夏代役。
五十鈴さんといえば私は
おりくさん。
▼三味線の師匠で武器がバチ。
三味線屋の勇次のおっかさんでございます。
★加藤治子
『花つみ日記』に
女生徒役で出演。
実は加藤さん、
この映画がデビュー作なんです。
当時は御舟京子という名で
活動していました。
『魔女の宅急便』では
やさしい老婦人の役だったよね。
▼ニシンとかぼちゃの包み焼き
といえばこのおばあちゃん。
★上原謙
涼しげなる目元、
麗しき微笑み。
とにもかくにも
上原謙の美男子ぶりには
恐れ入りました。
またおもしろいよね。
そういや中井貴一よりも
その父親である佐田啓二が
好きなのよね、私。
★笠智衆
『花』で上原謙演じる歯科医の
友人役として出てました。
ん?と思ったけど、
熊本訛りがあるからすぐわかった(笑)
若いころから老け役専門だった笠さん。
本人はそれがいやだったらしいが、
小津映画にはひっぱりだこでしたね。
▼ここにはお坊さん役で出てます!
小津安二郎作品もいずれまた
ご紹介できたらなと思います。
こちらもどうぞ
▼楽天オススメアイテム!
*1:▼女子高の寄宿舎を舞台にした仲良し三人組のお話。
※kindle版だと現代に置き換えた文章になっているので
当時と同じものを探している方は古本がおすすめ!
*2:布に赤い糸で玉結びを作ったお守り。千人の女性によってひと針ずつ縫われる。出征する人にこれを贈り、武運を祈った。
*3:私もちょっと前にミシンデビューしようと思ったんだけど断念しました。でもこの映画を観たらまた手芸魂に火がついちゃった。今は丈詰めやアレンジをお店に出してやってもらってるから、けっこうな出費になるのよね…それにちょっとしたバッグやポーチが作れたら素敵だと思わない?
▼今は初心者向けの簡単なミシンも出てるみたい!
[rakuten:mishin-shop:10000122:detail]
*4:▼これです
”情景”
[rakuten:book:13239410:detail]
*5:のちの二代目市川猿翁の母親です。そんでもって四代目市川猿之助のおばあちゃん。
*6:「幸せだなァ」なんて言ったりギターをつま弾いたりして乙女たちの心を撃ち抜きまくった青春映画のスタァ。若大将の愛称でおなじみ。