「安らぎを得ることはできないんです、
犯人が分かるまでは」
『迷宮事件
ファイル』
"COLD CASE FILES"
アメリカで起きた
未解決事件が
解決されるまでを、
遺族・警官・目撃者など
関係者たちのインタビューを
おり混ぜつつ追ってゆく
ドキュメンタリー番組。
ひさしぶりにHuluに戻ってきて、
いちばん最初に興味を惹かれたのがこれ。
ためしに一話だけ…と
軽い気持ちで再生したのに
ついつい見入ってしまった。
第1回は資産家の老夫婦の事件。
二人は行方不明になり、
数日後、遺体で発見されてしまう。
葬儀をすませて息つく暇もなく
取り調べを受ける遺族たち。
被害者遺族は
同時に
容疑者でもある。
喪失感と怒りと悲しみ。
何もわからない
もどかしさ。
警察でさんざん絞られ、
町では人々の好奇の目にさらされ、
彼らは肉体的にも精神的にも
大きなダメージを負う。
なのに捜査は行き詰まり、
とうとう事件は迷宮入り。
しかし19年後、
多くの謎を残したまま
保管庫に
しまい込まれていた
この事件の箱が
再び開けられることに。
証拠品や目撃者の徹底的な洗い直し。
最新の技術と
新たな視点で
ただの点と点に
長い時を経て
また点が足され、
それらが
真実へと
たどりつく線で
繋がっていく。
解決するまで20年。
ついに明らかにされた犯人。
”事実は小説より奇なり”と言うけど、
まさにそうだなとこれを観て思った。
怯える者、
復讐を誓う者、
心の傷が癒えない者…
関係者が語る、
当時と今の心境。
事件のことを思い出して、
涙で声を詰まらせる場面もあった。
「もしあの時…」と
自分を責めたり、
「もしかしてあの人が…」と
身内や周りの人間を疑ったり。
毎朝、毎晩、何年も
繰り返し繰り返し
何十、何百通りの
”もしも”に
苦しんできた人たち。
みんな
それぞれの思いを胸に
生きてきたんだな。
つらかったろうな…
人生をめちゃめちゃにされて。
真実が必ずしも
安らぎを
もたらすわけじゃない。
それでも
何もわからないよりは
はるかにましだ。
12万件という
とほうもない数の
迷宮入り殺人事件。
苦しい思いをしている人が
まだまだ
大勢いるんだと思うとやるせなくなる。
番組の終わりで、
事件以来疎遠になっていた遺族が
ひさしぶりに顔を合わせるのね。
晴れやかな顔してるのよ、みんな。
やっと救われたんだな…と
観ているこっちもほっとしました。
陰惨な事件もある。
悲しい事件もある。
目をそむけたくなる場面もある。
それでも真実を知りたい人はどうぞ。
犯罪捜査を
知ることのできる
意義ある番組です。
【今日の知ってる人】
この番組の
ナレーションを
ときどき務めるのは
俳優ダニー・グローヴァー。
そう、『ドリームガールズ』で
マーティー役してたおじいちゃん。
▼この映画に出てます
【もう一件】
『密着!殺人捜査
リミット48時間』
"THE FIRST 48"
事件発生から
解決までの48時間を
刑事に密着する
ドキュメンタリー番組。
※血痕や(ぼかされるものの)遺体も映るので注意!
こっちはちょっと毛色が違います。
”殺人捜査は最初の48時間が大事”
(と言いつつオーバーすることも)
ということで、
スピーディーに進んでいく。
再現ドラマなし。
完全なる実録もの。
手掛かりを集め、
推理を構築して、
容疑者を割り出していく。
殺人捜査がどのように
なされるのかがわかります。
電話したら空振りだったり、
証拠開示の申請に数週間かかったり、
現実はなかなかに厳しい。
ドラマみたいにいかないよね、そりゃ。
緊迫する場面や
心理的な駆け引きに
どうなることかと
ハラハラするけど、
これぞドキュメント
という作品です。
▼心の闇はどこから来るのか