「昔 少年少女だったお客さんが
年老いていくのを ずっと見てきました
みんな常連さんです
ずっとここで散髪したいんです」
『世界 美しい村の
✂✂✂理髪店』
2021
コロナ禍真っただ中の
中国、バングラデシュ、
そしてイギリス。
理髪店に密着*1し、
その中でのやりとりに
耳を傾ける
ドキュメンタリーです。
▼AmazonプライムのNHKオンデマンド*2で観られます!
言葉はすべて原語。
字幕が出てくるので、
おしゃべりの邪魔をする
ナレーションはありません。
✂✂✂✂✂✂✂
スコットランドのカレン村では、
清潔感あるモダンな店で
ユッタとマークが働いている。
海に面したカレン村は、
漁業が盛んでロケーションも抜群。
本来ならば観光で栄える地区なのに、
こんなご時世だから閑散としている。
コロナ対策のための厳しい規制で
村の人々は思うように生活できず、
不満が募っているようだ。
元軍人のおじさんが入ってきた。
べつに切るほどのことはなさそうな
短い髪みたいだけど…
「髪切るのを楽しみにしてきたんだ
今はどこにも行けないし何もできないから」
「規制があるからね」
「だから今日はワクワクしているんだ」
「そんな感じだね」
「そうさ ただの散髪なんだけどね」
「大したことじゃないんだけどね」
ずっとひきこもる生活が続いていると、
外が恋しくもなるからなぁ…
たかが散髪、されど散髪。
髪を切ると、
気持ちが
上向きになるもんね。
✂✂✂✂✂✂✂
のどかな田園風景が広がり、
かつてはあのガンジーも滞在した
バングラデシュのジャヤ村。
タパン氏の狭い理髪店は、
もはやなじみのたまり場。
景気の話、宗教の話、結婚の話。
出稼ぎに行って散々な目に遭った話。
いろんな人が世間話をしにやって来る。
実はタパン氏には、
髪を切る以外にもう一つ特技がある。
それは、横笛だ。
手なぐさみに吹いたりもすれば、
宗教行事で演奏したりもする。
夜。
笛の音が店内に響き渡り、
客たちが一心に聴き入っていた。
暗闇にぽっと点いた
ろうそくの灯りのような
店のたたずまいが、
深く印象に残った。
✂✂✂✂✂✂✂
レンガが敷き詰められた床。
使い込まれた道具。
中国の大通鎮にある理髪店は
色も飾り気もない、
しかし趣きあるたたずまいの
戦前からある古めかしい店だ。*3
ここで働くのは
施さんと陳さん。
慣れた手つきで
髪を切り、顔剃りをしていく。
リトル上海と呼ばれ、
かつて交通の要所だったこの村は
商社が軒を連ね、
多くの物や人が行き交っていた。
しかし1958年に橋が開通してからは、
すっかり活気がなくなってしまった。
昔は一日中ひっきりなしに
お客が来ていたそうだ。
壁一面に並ぶ何枚もの鏡が、
それを物語っている。
「誰かに継がせるべきだよ。
あなたで終わりにしちゃダメだ」
お客の豆腐屋さんには
せっかくの技なんだから次の世代に伝えなきゃ!
なんて力説していたくせに、
自分の店について尋ねてみると
ここは私の代で終わり、と
悲しそうにほほ笑む施さん。
ほんとはすごく無念だろうな。
「お客さんと一緒に
店も年老いてしまったね」
このひとことが
胸に沁みました。
✂✂✂✂✂✂✂
切って話してリフレッシュ。
さっぱりした顔で
帰っていくお客を見送る。
あっという間の1時間29分でした。
美容院に行くとさ、
切られた自分の髪が床に落ちるでしょ。
私、ぜったいあれを見ときたいの。
こんなにあったのか!って、
気持ちがスカッとするんだよねぇ。
もうちょっと
落ち着いたら、
また切りに行きたいな。
▼”ヒマつぶし史上一番ご機嫌な過ごし方”(笑)!
ヒロエトオル氏のチョイス、私とかぶってて興味深い。*4
【おまけ ✂】
タパンさんがお店で
フルフルピッピキ
吹き鳴らしていた笛。
あの自由で軽やかな音色に
すっかりとりこになって
思わず調べてしまった。
どうやら
バーンスリー*5と
いうものらしい。
北インドで用いられる
竹でできた笛で、
サイズはだいたい30~75センチほど。
民族音楽に欠かせない楽器なのだ。
ひとりで
かるーく
ピロリロ
奏でるもよし。
誰かと
フルフルっと
アンサンブル
するもよし。
バーンスリー奏者で
Rakesh Chaurasia
という人をみつけました。
ラケーシュ・チョウラシア氏は、
インドの人間国宝
ハリプラサード・チョウラシアの甥。
最高の師の元で小さい頃から
バーンスリーの手ほどきを受けています。
古典音楽から現代音楽まで
柔軟に、そして精力的に
世界に音色を発信し続けているんだって。
しばしばライヴで来日しているらしく、
東京や京都や名古屋などなど
あちこちの
ライヴ音源が
ありました。
こっちは
現代的なサウンド。
瞑想・おやすみ前に
よさそうな
こんなものまで…
奥が深いです、
バーンスリー。
【おまけ ✂✂】
番組の中で、
カレン村の郷土料理、
カレンスキンクを
紹介していました。
燻製のタラと
じゃがいもとタマネギを
煮込んだスープです。
▼燻製のタラってどんな味がするんだろ…
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▼買ったもの載せてます!
*1:たまにお客さんにちょこっとついて行ってお仕事拝見したりもします。
*2:▼プライムの年会費とは別に月額登録する必要ありwww.amazon.co.jp
*3:水鉢に顔を下に向けて行う洗髪スタイルも衝撃的だったな。看板に”百年老店”とあった。調べてみたら”老店”は老舗という意味らしい。
*5:▼バーンスリーはまずキーと大きさをしっかりチェック!