「思うのではなく
わたしは知っているのです」
『パーカー・パイン
の事件簿』
"Parker Pyne Investigates"
悩める人々が
駆け込む、
駆け込み寺のような
不思議な男の
お話です。
▼パーカー・パインもの全14作品収録
たとえばあなたが
ロンドン市民だとして、
ある日新聞を読んでいて
こんな小さな広告に
ふと目を留めたとする。
「なんだこれは」
「バカバカしい」
たいていの人間ならば、
そうやって一笑に付すだろう。
具体的なことなど
何ひとつ書かれていないし、
パーカー・パインとやらが
何を生業にしている人物かもわからない。
だいいち”幸せ”かどうか尋ねるなんて
いかにもうさんくさい。
だけどもしも
誰にも言えない
悩みがあったとしたら…
その悩みに日に日にさいなまれて
気が変になりそうだとしたら…
いちかばちか、
わらをもすがる思いで
リッチモンドストリート17番地に
駆け込むのではないだろうか?
■□■□■□■
眼鏡にハゲ頭の大柄な男、
パーカー・パイン。
うさんくさい広告に
半信半疑で訪れた人間も、
ひと目会えば
ふっと緊張の解けるような
信頼できる雰囲気の持ち主だ。
彼は、
探偵では
ありません。
不幸は5つに分類される、
と断言するパイン氏。
35年もの間 役所に勤めて
統計の収集にたずさわり
ひたすら数字と向き合ってきた彼は、
分析・分類することで
人間の行動を予測できるようになった。
その経験を活かして
人々を助ける事務所を開いたというわけ。
いわば、私は医者のようなものです。医者はまず患者のぐあいを診て、それから治療法を処方します。しかし、処方できない病気もありましてね。その場合は、なにもできないと率直に申し上げます。ですが、わたしが治療をお引き受けした場合は、治療は保証されたも同じ。
『パーカー・パインの事件簿』
(創元推理文庫)訳:山田順子より
悩める子羊たちの
不幸に応じた処方を導き出し、
マドレーヌやクロードといった
優秀なスタッフを使って
問題を解決してゆくのだ。
かなり費用はかかりますけどね…(笑)
■□■□■□■
エルキュール・ポワロ、
ジェーン・マープル、
トミーとタペンス…
クリスティー作品にはいろいろあるけど、
今のところ私は
パーカー・パインが
いちばん好き。
私も分析・分類大好き人間だから
そこが合うのかも☆
短編しかないから
テンポがいいし、
短いながらも
ワクワクするような
しかけがしてあって
あっという間に読み終えちゃった。
パーカー・パインものは
14作品。
正直もっと読みたかった!
イギリスを舞台にしたものと
休暇先のヨーロッパ諸国や
中東*1を舞台にした
2タイプあります。
なお
ポワロものではおなじみ
ミス・レモンが秘書役、
オリヴァ夫人が
シナリオ担当スタッフとして
それぞれ登場しますが…
実は二人とも
初登場は
パーカー・パインもの。
そういう意味でも
楽しめると思います♪
「わたしが専門としているのは、
人間の心なんですよ」
【おまけ】
実はイギリスのドラマ
『アガサ・クリスティー・アワー』
の中で
『中年夫人の事件』*2
『不満軍人の事件』*3
が実写化されています。
私もずいぶん前に観ました。
見せかたを工夫していて、
切り口が斬新なのがおもしろかったな。
▼楽天オススメアイテム!
【今日の知ってる人】
★グウェン・ワトフォード
『中年夫人の事件』の主人公。
この人はジョーン・ヒクソン版の
『ミス・マープル』で、
マープルさんの友人
ドリー*4を演じてました。
▼0:07に出てます!
www.youtube.com
もっと!
アガサ・クリスティー
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