「”シャーロック・ホームズ”を創ったのは私だ!
貧民街で拾った君を雇ったのは
その役を演じてもらうためだぞ!」
『迷探偵
シャーロック・
ホームズ
最後の冒険』
"Without A Clue"
1988/トム・エバーハード
名探偵ホームズは
真っ赤な偽物!!
実はワトソン先生が
ブレーンだったという
コメディー映画です。
闇に乗じて美術品に忍び寄る窃盗団。
そこへちょっと待ったとばかりに
パイプをくわえた
一つの影が浮かび上がる…
名探偵ホームズ!
そして彼の呼びかけで姿を現したのは
その助手ワトソン!
大捕り物の末、警察に引き渡すと
晴れ晴れとした笑顔で
「事件解決だ!」
と宣言するホームズ。
なんともあざやかな登場シーン!
…と、思いきや。
誰も知らなかったのです。
関係者が引き払ってから、
ワトソン先生が
その名探偵に向かって
「この馬鹿!」
と一喝したことを…(笑)
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誰もが知る名探偵を
ポンコツに
設定するという
原作大暴走の
パロディー映画。
コントのような笑いが
あちこちにちりばめられています。
ホームズの能無しぶりに
ぷりぷり怒って帰ってくるワトソン。
実は推理していたのも
事件簿を書いていたのも
ぜんぶ
ワトソン先生。
そしてホームズの正体は、
俳優くずれの
レジナルド・キンケイド。
当時医者志望だったワトソンが
ホームズというキャラクターを
創り出したのです。
事件簿を出版するや国民に大受け!
架空の名探偵
シャーロック・
ホームズは
一躍 有名人に
なってしまったのでした…
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ヴァイオリンも弾けない。
腕っぷしも強くない。
ただの酒好き・女好き。
もちろん
推理力も皆無。
そんな偽物探偵は
使いっ走りの浮浪少年たちにも
その無能ぶりを揶揄される始末…
だけど役者くずれなだけに、
それらしい演技と
舌先三寸で切り抜ける
お調子者なのです。
ワトソン先生は
きちんと正確に!の
完璧主義者。
対してホームズは
テキトーで楽しけりゃいい
享楽主義者。
だから何をするにもホームズは
いちいち口やかましく指摘されます。
バカバカしい事件の手がかりを
覚えさせられるのはもううんざりだ、
酒でも飲まんとやってられん!
と言うホームズに
とうとう堪忍袋の緒が切れたワトソン。
クビだ、と彼を家から追い出します。
「ようやくあのアホから解放されたぞ~!」
と大家のハドソン夫人と大喜び。
ホームズの存在は闇に葬り、
犯罪博士ワトソンとして
世に出ようと意気込むも…
世間はそれを
許してくれません。
ワトソンはあくまで
”名探偵の助手の
お医者さん”。
政府のお偉方も町の人々も
ホームズにしか興味ない。
今まで二人ならノーチェックだった
立ち入り禁止の場所にさえ、
ホームズなしでは
入れやしない。
ワトソン先生は
事件解決のため、
しぶしぶコンビを
組みなおすんだけど…という流れ。
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ホームズもの、
何作品か観てきたけど*1
これは
飛び抜けて異色作!
こんなコメディー映画に
実力派の名優*2を起用するという
思いっきり才能の無駄遣い(笑)なのも
イギリスらしい皮肉がきいてていい。
アホだけどなぜか憎めない
ダメ男ホームズと
残念な”最高傑作”に振り回される
短気なワトソン先生が
観たい方はぜひ!!
▼でも日本語版がない…ううっ。
▼買ったもの載せてます!
【おまけ】
トンデモ映画に似つかわしくない
華麗な音楽を手がけたのは
映画音楽の大御所
”ピンクパンサー
のテーマ”
でおなじみですね。
▼ここでも才能の無駄遣い(笑)
こんなのもどうぞ
*1:▼過去のホームズ回
zuzz.hatenablog.com