「頭が切れる普通の探偵なんて退屈です。
例えば格闘技とか射撃とか
特別な能力を持たせては?」
「でも実際の彼にそんな能力は何もない」
「先生。
実際にできるかなんて誰も気にしません」
『名探偵
シャーロック・
ホームズ』
"Шерлок Холмс"
イゴール・ペトレンコ,アンドレイ・パニン,
ミハイル・ボヤルスキー,インゲボルガ・ダクネイト
2013
ロシア版
シャーロック・
ホームズの
おはなしです。
▼二人の人物像を変えているのには
ちゃんとわけがあるのです…
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ロシア版ホームズは2度目ですね。
▼こっちが初代
zuzz.hatenablog.com
軍医として戦地に赴くも負傷し、
帰国してロンドンの街へたどり着いた
開業するための
住み家を探そうとした矢先、
往来で殺人事件に遭遇する。
駆けつけた現場にいた男こそ
のちに相棒となる探偵
シャーロック・
ホームズだった。
ホームズは27歳。
ワトソンは42歳。
他の作品にくらべて
ホームズが若く
ワトソンが
オジサマです。
でもってこの作品の中では
ホームズは
推理力だけは確かだけれど、
ヴァイオリンもへたっぴで
ヤクとも無縁。
ケンカもそんなに強くないのだ。*1
その代わり
ワトソンの
腕っぷしが、
おそろしく強い。
しかも人助けのためなら
4対1でも立ち向かう
(そして素手でやっつけちゃう!)
正義感の持ち主。
射撃の腕前も見事!
タフなお医者さまなのだ。
なぜ
完全無欠なホームズ
でなく、
未完成なホームズ
に設定したのか。
紳士で強くてヴァイオリンも弾ける
天才型のホームズってのは、
のちにワトソンが
作品の中で描くことになる彼。
つまりありのままの
ホームズじゃなくて、
完全無欠になるよう肉付けしたことで
みんなのヒーローにしたわけだ。*2
ワトソンせんせは
作家志望でもあるので、
新聞社にせっせと持ち込みもします。
ホームズの助手として
かたわらにいることで
経験や観察力が培われ、
結果的に作家としても
成長してゆくことになるのだ。
このあたりを観られるのもおもしろい。
ホームズものばっかり観てきて
いいかげん食傷気味だったけど
これはいい!
恋に悶えるホームズ*3と
戦争のトラウマに苦しむワトソン。
二人の余裕がなかったり
人間くさかったり
するところが
いいんだよなぁ。
さらに
原作をそのまま
なぞるのではなく、
練りに練って
魅力的なストーリーに
仕上げているので
観ごたえあり!!
全8話。
あんまりおもしろいから
いっきに観ちゃった。
原作至上主義者なんて言って
敬遠するのはもったいなさすぎ!
学者肌のホームズと
漢気のワトソン、
おすすめです。
堅物だが話せない奴ってわけでもない
レストレード警部や
手厳しいが面倒見のいい
ハドソン夫人、
どこまでもミステリアスな
マイクロフト兄さんも
いい味出してます(笑)
それはそうと、
毎回冒頭に出てくる
ワトソン先生の原稿がほしい!
筆記体の美しい文章と
巧みなスケッチで埋めつくされてて
すんごく気になるのだ…
【おまけ】
このドラマには
流れるんだけど、
フィドル(ヴァイオリン)と
ティンホイッスル(縦笛)の
音色が心地いい!
思わず体が
動き出しそうな
楽しい音楽だよね。
あと音フェチなので、
蹄鉄の音が聴けてうれしい。
あのパッカパッカした音、
なんだか耳が幸せになる♪
それからそれから
外国の言葉も好きなので、
英語以外の言語が聴けて楽しい♪
ロシア語は
語気が強いところと
はっきりしたRの発音が
趣き深いのです。
原作本
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