「わぁ!すてき!」
『アイリス
・アプフェル!
94歳のニューヨーカー』
"Iris"
2014
1921年生まれの
実業家、
そして
おしゃれの申し子、
アイリスの
ベリーショートの白髪。
トンボの目みたいな
でっかくてまぁるいメガネ*1。
ハイブランドも着れば、
露天で売ってる安物も着るし、
民族衣装だって着る。
値切り交渉もお手のもの。
家*2はいつも
洋服と装飾品、
調度品、雑貨であふれている。
インテリアコーディネーターだった
アイリスは、
顧客のニーズに応えるため
夫と共に定期的に
世界中へ買い付けに行くうち、
自然と目が肥えていったのだという。
やがてそのセンスを買われ、
美術館に議事堂、
装飾の復元まで依頼されるように。
その一方で
廃れゆく刺繍をよみがえらせたり、
貴重な手仕事の担い手を育てたり、
歴史が失われないための
貢献もしているのだ。
ニューヨークの
働く学芸員ハロルド・コウダは、
アメリカ屈指の
コスチューム・ジュエリーの
コレクターとしても有名だった
アイリスと知り合った。
美術館で開催するはずだった
ある企画が頓挫した時、
彼はアイリスの
大量のジュエリーを
展示しようと考えた。
それもただ陳列するのではなく、
アイリスの
手持ちの服に合わせて
飾ろうじゃないか、と。
スポンサーなしで広告費もかけられず
口コミで呼びかけた間に合わせの企画。
それなのにフタを開けてみれば大盛況!
この斬新な催しの噂は広がり、
新聞でも”珍しい鳥”と評され、
アイリス・アプフェルは
知る人ぞ知る
ファッションアイコンと
なったのでした。
アイリスは子どもの頃、
ハーレムの人たちが
日曜に教会へ行く姿を見て
感動したんだって。
あんまりみんなが
着飾っていて素敵だったから。*4
アイリスの感性は
そのときのまんま。
いいものをみつけたら、
「わぁ!すてき!」
と子どもみたいに目を輝かせて飛びつく。
このみずみずしいセンスと
旺盛な好奇心と行動力、
そして豊富な経験が
90歳を過ぎた
売れっ子
ファッショニスタの
大きな魅力なのだ。
なんせ電話は一日50本!
超多忙なおばあちゃんだ。
「甥から聞いたの。
”彼女もう死んだ人でしょ?”って
言ってた人がいたって。
だから次はこう言ってやってって頼んだの。
”おばはまだ生きてるんですよ、
なんせ葬式代が高くつくもんでね”って」
甥はアイリスに
「たまにはゆっくり休んだら?」と
すすめるけど、
彼女は忙しくしてないと
ダメな性分なのだとか。
67年連れ添った夫カール*5は、
アイリスとの結婚生活で
退屈したことがないって。
彼はことあるごとに
アイリスを"my child"と言ってた。
次に何が起きるかわからないから
いつも驚きの連続なんだそうな。
車の中で二人が手をつないでてね、
カメラがグーっと寄って
重なったしわしわの手が
大写しになるの。
年をとっても
こうやって
笑い合っていられる
夫婦って、いいな。
ふとそんなことを思いました。
大ぶりの
アクセサリーが
大好きなアイリス。
私も大好き!!
でも彼女の場合はそれを
ガンガン重ねづけするのだ!
えぇぇ…と思うけど、
不思議と、ホント不思議と
まとまってるんだ…これが。
エレガントだったり、
シックだったり、
サイケだったり、
ロックだったり。
杖はついてるけど
心は誰よりも若い。
刺激に満ちた人生!
観たら
おしゃれして
おでかけ
したくなります。
【今日の知ってる人】
☆タヴィ・ゲヴィンソン
アイリスと対談していた彼女は
ティーンのときにブログを立ち上げ、
自らライター・編集者となって
ファッションや音楽、
映画、悩みなどについての
等身大のコラムを発信。
『ルーキーイヤーブック』として
出版され、
多くの少女たちの共感を得た。
タヴィもアイリスと同様
”好きが高じて時の人になった”人。
▼私も『ルーキーイヤーブック』持ってます!
- 作者: タヴィ・ゲヴィンソン,多屋澄礼,山崎まどか,ミランダ・ジュライ,レナ・ダナム,ズーイー・デシャネル,ジョン・ウォーターズ,ダニエル・クロウズ,ジャック・ブラック,スカイ・フェレイラ,リズ・フェア,ダム・ダム・ガールズ,ファースト・エイド・キット,オーブリー・プラザ,ウィニー・ホルツマン,レスリー・アーフィン,フレッド・アーミセン,アナ・ファリス,パットン・オズワルト,JD サムソン,ダン・サヴェージ,アライア・ショーカット,キッド・シスター,ジョス・ウィードン,シャノン・ウッドワード,ポール・フェイグ,ケヴィン・タウンリー,パメラ・デ・バレス
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2015/11/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
▼買ったもの載せてます!
*1:『ひょっこりひょうたん島』のハカセみたい!
*2:自宅以外にもありとあらゆる場所に衣裳部屋にしている物件がいくつもあるのだ!
*3:この件でケネディ大統領夫人ジャクリーン・ケネディとモメたらしい…(笑)この話は政府がいやがるからとしてくれなかった。ちぇ~っ。
*4:黒人たちが色とりどりの服で礼拝に…っていうの、『ブルース・ブラザース』でも観た!
*5:この映画の撮影の翌年に100歳で死去。