「手を貸してくれるかい?」「喜んで」
「法を犯す覚悟はあるか?」「かまわないよ」
「逮捕されるかもしれない」「それでもやるさ」
「仕事と割り切ってくれ」「もちろんだとも」
「君は最高だ、ワトソン」「何でも言ってくれよ」
「やはり君は、頼りになるな」
『シャーロック
・ホームズと
ワトソン博士』
"Шерлок Холмс
и
доктор Ватсон"
ワシーリー・リヴァーノフ, ヴィターリー・ソローミン
1979/イーゴリ・マスレンニコフ
稀代の名探偵
ホームズ*1と
その助手であり友人の
ワトソン博士の
お話です。
▼観たらわかる、”黒”がピリッときいた映像。
www.youtube.com
前に紹介したのは
ジェレミー・ブレット主演、
イギリス版のホームズ。
▼またの名をグラナダ版ホームズ!
zuzz.hatenablog.com
今回はあの作品より
5年も前に作られた
ロシア版のホームズです。
といっても舞台はあくまで英国。
ロシア語吹替を楽しむような気持ちで
観るといいと思います。
犯人追跡用の飛行機や
ヘリコプターがまだなく
情報を伝えるラジオもなかった19世紀末
そうした近代的手段に頼らず
見事な推理で事件を解決する男がいた。
※冒頭より
ロシア人が作った
ホームズ?
気つけにウォッカでも
あおったりするのか?
な~んて、
ほんの軽い気持ちで、
完全にスナック感覚で観てみたら…
華麗なバロック風の調べをBGMに
センスのビシバシきいた演出で
オープニングクレジットが
流れるじゃありませんか。
おいおい…
なんだこれは。
グイグイ
引き込まれちゃうぞ。
びっくりした。
私はグラナダ版のホームズ派だけど、
これは期待を
大きく上回る
素晴らしい出来でした。
格調高い本格派。
雰囲気たっぷり。
ロシアのみならず
本場イギリスの
シャーロキアンたちから
絶大な人気を誇っているのもうなずける。
謎解き狂の名探偵と
正義感の塊な医師。
第1話はホームズとワトソンの出会い、
第2話はワトソンがホームズの事件を
記録するようになった経緯が
わかるようになってます。
特に第1話目、
おともだちになりたくて
同居人にちょっかいをかける
無邪気なホームズ坊やと
警戒心が強くて個人主義者の
氷のようなワトソン先生、
これだけでも
観る価値あり(笑)
癒し担当でよく働く大家の老婦人
ハドソンさん(リナ・ゼリョーナヤ)、
シャーロックの兄であり
弟をも凌ぐ推理力の持ち主
マイクロフト*2(ボリス・クリューエフ)も
脇役として光っています。
二人の活躍回は必見(笑)
これは全力で
おすすめ
させていただく。
ただのテレビ映画だと
あなどってはいけない。
畏敬の念が感じられる真摯な作りで、
映画や小説を楽しんだあとのような
観ごたえある作品に仕上がっています。
謎が星屑のように
ちりばめられた
篤き友情の
冒険譚です。
あ、もちろん
恐喝王ミルバートン*3や
モリアーティ教授*4も出てくるよ!
【今日の知ってる人】
ホームズ役の
ワシーリー
・リヴァーノフ。
彼の顔は知らないかもしれないけど、
彼の声は聞いたことあるかも。
『チェブラーシカ』で
わにのゲーナの声を
やっていた人なんです!
▼0:31の「スパシーバ」と0:41の歌を聴いて!
ちなみにこの動画のナレーションは
初代野原しんのすけの矢島晶子さん。
www.youtube.com
俳優、映画監督、作家と
たくさんの顔を持つ多才な人らしい。
ちなみにリヴァーノフ氏、
▼こちらの2つは廃盤…おお…
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【おまけ】
「こんなの観てるヒマなんかない!」
「あたしゃ忙しいんだ!」
という方にはこんなのもありますよ…
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アメリカ式英国探偵事件簿
~時間がない人のためのホームズ~
「僕、大きくなったらあなたみたいな
有名な探偵になりたいんです」
「それならば鍵穴をのぞいたりせずに
道徳心を磨くことだよ」
『シャーロック
・ホームズ』1954
ロナルド・ハワード, ハワード・マリオン=クロフォード
犯人を一撃でのしちゃう
腕っぷしの強いワトソン、
毒のビンの並ぶ棚から
お茶のビンを取り出すホームズ、
そんな二人の出会いから描かれる
このドラマ。
友人の紹介で顔を合わせ、
その日のうちに部屋を内検。
次の日には引っ越し。
まるで電撃婚カップルよ(笑)
1954年から1955年まで放映された
アメリカ版ホームズ。
全39話で1エピソードが
およそ28分弱。
アメリカ製だけあって、
みんな大声でまくしたてるわ、
ギャグ要素はあるわで
かなりやっつけ系(笑)
本格派でなく
変わり種を
お探しの方はどうぞ。
第8話の”消えた探偵”は
ゲストのキャラが濃ゆくておすすめ(笑)
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
こっちは
イギリス式
仏国探偵事件簿(笑)
▼Mr.ビーンの人がお笑い要素なしで
真面目に主人公のメグレを演じてます!
zuzz.hatenablog.com
原作本
▼訳者オススメの順番だそうです
[rakuten:book:10095063:detail]
[rakuten:book:10094325:detail]
[rakuten:book:10095060:detail]
[rakuten:book:11328697:detail]
▼買ったもの載せてます!
こちらもどうぞ
*1:実は”バリツ”なる日本の格闘技の使い手でもあるシャーロックさん。諸説あるが、なんとこれは柔道(柔術)を指すのだそう。架空の存在とはいえ、日本とゆかりがある異国の名探偵ってなんだかうれしいね。
*2:クールで頭脳明晰。私はこのドラマのマイクロフト兄さまがいちばん好き♥
*3:スキャンダルが大好物な、パパラッチのご先祖様というべきクズ。裕福な貴族を狙い、名誉と引き換えに大金を巻き上げる手口で恐れられるクズ。後述のモリアーティの手下でもあるクズ。
*4:恐ろしく狡猾な犯罪組織の親玉。ホームズはその手口について敵ながら感心しつつも”安っぽい演出が好きな男”とこき下ろしていた。たしかにね…(笑)中二病っぽくもある気がしないでもない…