『忘却のサチコ』～つらいときは何か食べに出かけよう～【おまけつき】

「人間どんな悲しい目に遭っても
　おなかはすくの。
　たぁくさん食べて、忘れなさい」

『忘却のサチコ』

"A MEAL MAKES
HER FORGET"

2018/山岸聖太,石井総一,根本和政
高畑充希, 早乙女太一, 吹越満,
ふせえり, 葉山奨之

　『忘却』。
　それは、
　人が旨いものを、
　我を忘れただひたすらに
　味わった瞬間
　に達する美食の境地。
　これは、
　結婚式当日に
　新郎に
　逃げられ
　彼を忘れるために
　「忘却の美食道」
　に足を踏み入れた
　一人の女の物語である。

　　　　　　　　　　　　※冒頭テロップより

www.youtube.com

www.tv-tokyo.co.jp

中学館文芸誌編集部に勤める

佐々木幸子は

几帳面で合理的で

生真面目。

仕事はできるが、

愛想笑いはできない

”鉄の女”だ。

夫となるはずだった俊吾に逃げられ*1

抜け殻のようになってしまった彼女だが、

定食屋で鯖の味噌煮に感動したとき、

あることに気づいた。

「…あれ。
　いま私、
　俊吾さんのこと忘れてた。
　…いける。
　これでいける！」

そう。
これはサチコが
美味なる料理を
食べることで
最愛の人を
忘却しようとする
おかしくもせつない、
せつなくもおいしい
グルメドラマなのです。

【！注意！】
スペシャル番組として放送して
そのあと連続ドラマになった作品です。
観る順番を間違えないでね！*2

第一話…じゃなかった第一歩 *3では

サチコの過去をさらりとおさらいしたのち

現在が描かれています。

ある日サイン会で駆けずり回り、

食事もとれずにガス欠のサチコが

ひょんなことからたどり着いたのは

高級すき焼き店*4。

強気の値段に渋っていたものの、

店から出てきた女の子二人組の

「たまには
　自分にごほうび、
　あげないとね」

の言葉に背中を押され、入店。

高級店だけあって、部屋付きの店員が

始めから終わりまで調理してくれる。

　店員「すき焼きっていうのは、
　　　　もともと関西の言い方でしてねぇ。
　　　　割下で煮るのではなく、
　　　　ザラメ・みりん・醤油で、焼くんです」

サチコ「焼くから、すき焼き。
　　　　勉強になります！」

”溶けたお醤油と
ザラメが絡まって、いい香り…
それに、この音。
食欲をそそる…！”

ほんと、観てるこっちは

肉の焼ける映像と音で

よだれが
止まんないよ！！

▼すき焼きの参考映像
　※ドラマとは関係ありません
www.youtube.com

もちろんサチコは一口で撃沈。

俊吾に逃げられても

仕事のピンチでも動じなかった

鉄仮面がいとも簡単に崩れてゆきます。

”うわぁぁぁぁ！
　口の中でとろけちゃうこの柔らかさ！
　この、幸福感。
　やっぱり牛ですよ、牛！
　牛鍋食わねば開化不進奴（ひらけぬやつ）*5。
　文明開化の時代、
　流行の最先端になるだけあるわ。
　今まさに、私の食欲が開かれました。　

　ありがとう近江牛！
　ありがとう！！”

ハイテンションのモノローグ(笑)

冒頭と同一人物なのかというほど

表情豊かに

美味さを語るサチコ。

関西風のすき焼きを味わい尽くし、

とっくりと満足したのでありました。

www.youtube.com第二歩では

クセ者なラノベ作家(池田鉄洋)に

悪戦苦闘したのち

なぜか

アパートの玄関先で

おにぎりパーティー、

果てはミュージカルまで

くりひろげるという

オモシロ展開(笑)

かと思えば、

第三歩で出てきた港の定食屋で

店主であるおやじさん(泉谷しげる)が

あら汁の話をしたシーンに目頭じんわり。

「あんたがさっき飲んだあら汁な、
　ありゃあ毎日味が違うんだよ。
　その日その日に獲れたモン入れてっからよォ、
　二度と同じ味は作れねェ。
　今日だけの味だい。
　だからさァ、
　昨日のことなんか考えたってよォ、
　意味ねェんだよ。
　人間はよォ、
　今日のことと
　明日の天気のことだけ
　考えてりゃいいんだよ」