zuzzのみちくさブログ

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『宮沢賢治の食卓』~賢治のいた時代、賢治の見た世界~【おまけつき】

「あ~!
  このこんがりキヅネ色がたまんねんだよなぁ~!
 うんめぇ~!

宮沢賢治
         の食卓』

鈴木亮平, 石橋杏奈, 山崎育三郎, 市川実日子,
平田満*1, 神野三鈴, 柳沢慎吾, おかやまはじめ

2017/御法川修

 

日本人なら誰もが知る

宮沢賢治

をからめて

紐解いてゆくお話です。

www.youtube.com

www.wowow.co.jp

 

大正10年、夏。

ふるさと岩手を離れて

東京へ来て8ヶ月の賢治は、

工場勤めのかたわら

文章を書き散らす日々。

素敵な音楽が聞こえれば表に飛び出し、

おなかが鳴れば肉屋の店先で

揚げたてのコロッケ

それはそれは幸せそうに頬張るのでした。

「お兄さんさ、其れっきりじゃお腹が空くでしょう。
 もっと安くて手頃なモン、幾らでも有るでしょうに」

と言って笑う女将さんに、
「其れはいげません!

 手頃なだけじゃ、腹は膨れても心は膨れません。
 僕は女将さんのコロッケで心も満腹にしたいのです」
 

と熱弁を奮います。

けっきょく気をよくした女将さん

もう一つコロッケをおまけしてもらうのでした。

「今日もコ~ロッケ~♪
 明日もコ~ロッケ~♪」

とごきげんな賢治。

 

 

 宮沢賢治

 私の兄で御座います。

 何事につけ、

 好奇心の種が尽きない兄です。

 音楽に文学に科学に宗教。

 それに食いモン。

 その知識、興味の広さたるや

 目を見張るべき物が御座いますが…

        ナレーション(宮沢清六)より

 

 

明るい。

宮沢賢治

明るいぞ。

なんか

私が思ってた

ミヤケンとちがう…*2

いいぞ、これ。

いいですぞ。

 

さて。

それから場面はガラリと変わります。

最愛のトシが病気だと

電報を受け取った賢治は、

すぐさま岩手花巻へ。

賢治の実家は地元でも有名な

古着屋兼質屋の大店。

その玄関先で母親から

トシはピンピンしていると聞きます。

なんと息子に家業を継がせたい父親

まんまとだまされていたのでした。

こうして流されるように

実家で暮らすことに

なってしまった賢治

それでもやはり、

質屋という家業を継ぐのが嫌で…

 

好奇心旺盛で繊細で頑固。

自然を愛し、

弱い者を慈しみ、

曲がったことが嫌いな賢治

そんなを一番深く理解し、

かつ彼の作品の一番の読者であったトシ

父親となにかとぶつかる賢治

優しく声をかけます。

「兄っちゃはご自分が見でいる宇宙を、
 皆に分げで差し上げたいんでしょう?」

「ほら。
 コロッケだって分げ合うと美味しいじゃねぇすか。
 兄っちゃの見る宇宙だって、
 皆と分げ合った方が良いに決まってます」

無力感に打ちのめされた賢治

今まで書いてきた作品を燃やそうとした時も

「此のトランクは、此の原稿は、
 兄っちゃ其のものなんです!
 此れを燃やしたら、
 兄っちゃが燃えてしまうんです!」

すごく真剣に説得してくれるの。

なんていい*3なんだ… 

 

貧しい農家の子ども達と知り合い、

それがきっかけで

冷徹だと思っていたの信念を知り、

また教える喜びにも目覚めた賢治

農学校の教師の職に就きます。 

そして…

 

■□■□■□■□■□■

 

家族

友人

生徒達

そして恋人*4

宮沢賢治という人は

若くして死んだ、

かわいそうな人なんかじゃない。

は決してひとりぼっちじゃなかった。

私の知らない

宮沢賢治がいっぱいでした。

 

エンディングで 

賢治のふるさと岩手県から寄せられた

風景写真がザァーっと流れるの。

これがまた素敵なんだ。

 

あつあつホクホクの

揚げたてコロッケ

生徒達をうならせた

完熟トマトとホロホロ牛肉の

シチュウビーフ

甘くてせつない

焼きリンゴ

 

おいしそうで、

あったかくて、

すがすがしい。

おなかいっぱい

胸いっぱいになれる

ドラマです。

 

どうぞ、
おあげんせ*5! 

 

【おまけ 1皿目】

宮沢賢治の世界

目と舌で楽しみたい方はこちら。

行きつけの蕎麦処に、

清六が営んでいた茶店

こわくない山猫軒など、

一度は行ってみたくなるお店が紹介されています。

www.nippon.com

 

【おまけ 2皿目】

宮沢賢治、小学校の頃読んでたけど

生命力あふれる西洋の児童文学*6の方に

傾倒していたためか、

あの澄んだちょっと哀しい作風

いささかひょろっちく感じられたのよね。

でも

賢治の人物像を知るに至り、

それを踏まえて作品を読み返してみると

おかしいな、

じんわり

沁みてくるんだな。

 

このドラマ第1話目を観てから

いてもたってもいられずに

取り寄せたのがこの二冊。

 

宮沢賢治全集(7)
    銀河鉄道の夜 風の又三郎
       セロ弾きのゴーシュ

ひさしぶりに触れた、賢治の作品

ジョバンニカムパネルラの物話

銀河鉄道の夜は、

いま読んでも

みずみずしく、

きらきらしていました。

書かれて80年以上も経つのにね…

 

畑山博

『教師 宮沢賢治のしごと』

わずか4年という

教師生活だった賢治

しかし教科書を用いることなく、

実際に経験させて

身につけさせる彼の授業

たいそう人気だったという。*7

賢治に教わった生徒たちの証言から、

当時の宮沢先生を紐解く一冊。

こんなユーモアたっぷりの先生

私も教わりたかった~!

自分の作品の朗読もしたことがあるらしい。

なんと贅沢な…ファンなら悔しがるな(笑)

 

あ、原作

魚乃目三太

マンガです。 

試し読み

comic.k-manga.jp

原作本

DVD

▼買ったもの載せてます!

20190704215258

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*1:平田さん、こっちじゃおもしろキャラになってます(笑)!

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*2:勝手に内気で空想好きで弱っちい男だとばかり…

*3:はかなくも芯の強いトシを演じた石橋杏奈、いい演技してたな…

*4:女性と関わりのない人生を送ったと言われてきた賢治だが、数年前、突如”大畠ヤス”なる女性を彼の恋人とする説が浮上した。遺族の証言や現存するからの裏付けにより、この説はかなり有力視されているらしい。

ヤス恋人説提唱者澤口たまみ氏の著書

*5:「召し上がれ(おあがりなさい)の意。

*6:イギリスドイツのこんな作品です。

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*7:当時の生徒は、他の教師と違って宮沢先生の授業は今もありありと思い出せると言っていた。それほど五感に訴えかける授業が楽しく、自然に頭に入ったからなんだろう。