「誰にでも優しいってことは、
誰にも優しくないってことよ」
『黒い
十人の女』
船越英二,山本富士子,岸恵子,岸田今日子,
中村玉緒,宮城まり子
1961/市川崑
浮気男の
殺害を企てる
女たちの
お話です。
夜道を女が歩く。
その女の後を追う複数の靴音。
とうとう女は取り囲まれる。
追手は八人の女たち。
そこへ壁に腰かけた女が
こちらに語りかけてくる。
どうやらこの女は幽霊らしい。
「あたし?あたしは十番目の女ですわ。
ほら、数えてごらん。
ここからならよく見えるでしょう。
ほーら。
あそこには女が九人しかいないでしょう?」
そして話は遡る…
■□■□■□■
テレビ局のプロデューサー
風松吉は女好き。
業界の女に
次々と手を出しては、
深い仲になる前に
仕事を言い訳にして
のらりくらりとかわす日々。
こうして彼は
蜜を求める蜂のように
女から女へと飛んでいく。
ほうっておかれた女は
ますます想いを募らせる。
無責任で軽薄。
ろくでもない男。
いったいこの男の妻は
どんな思いでいるのか?
愛人が押しかけて行っても、
彼女は笑顔で応対する余裕の態度。
「奥さん、あたしが知ってるだけでも
あたしを別にしても六人もおりますよ」
「あたくしは八人知っております。
貴女を入れますとね。
お友達のようにしている方もあります」
それが話が進むにつれて、
とうとう
十人で彼を殺そう
ということになる。
ところが
その計画が
風の知るところと
なってしまい…
■□■□■□■
なんせ、
あのタイトル。
センスが光りまくってるよね。
十人なんて大きく出たもんだから
クローズアップされるのは
主要女キャラのみ。
一人ひとりのキャラが
まったく描き切れてなくて
やや消化不良なのが残念。
でもテンポよく進んでゆくので
観やすいと思います。
私のお気に入りは
和装で淑やかな
洋装で猫のような
岸恵子が
殺人の相談をしているシーン。
こんな美女が二人、
血なまぐさい話をしてるってのが
もーたまりませんのよ♥
怖いのに
サラッとしてる。
サラッとしていながらも
トーンは濃ゆい、
そんな映画です。
本人役でチラッと出てくるよ☆
「誰かが
殺してくれればいいのよ
あの男」
黒い十人の女 [ 船越英二 ] | ||||
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【おまけ】
風さんの職場のシーンで
こんなのがあったのね。
「なんか食いてぇな俺も。
腹減った。カツ丼か?」
「なんか頼んできましょうか?何です?」
「カツライスでいいや」
私、
カツライスを
知らなかったの。
トンカツ定食のこと?なんてさ。
風さんが食べてたのはまさしく
トンカツ定食だったんだけど、
実は”ライス付きのトンカツ”を
カツライスと呼ぶのは
関東・一部地域だけらしい。
ライスにトンカツをのっけて、
その上からデミグラスソースをかける。
どうやらそれが関西で言う
カツライスなんだって。
なじみがないから調べてみました。
これは島根の
カツライス。
▼ふおぉ…このボリューム!
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これは大阪の
カツライス。
▼ソースだくだく…!
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おなかすいた~!
私も
カツライスひとつ!
▼しかしカツ丼も捨てがたい…
【今日の知ってる人】
★市川崑
『犬神家の一族』でおなじみ、
市川監督。
この人の金田一映画、
好きなんだよなぁ。
▼やっぱスケキヨよ!
ドライな演出家を演じたのは
岸田さん。
彼女が全キャラの吹替を担当した
パペット版ムーミンのDVDセットは
今でも私の宝物です。
★伊丹十三
若き日の伊丹監督が
アナウンサー役で出演。
この頃は改名前なので、
名義が伊丹一三です。
市川監督作品には
『細雪』や
『吾輩は猫である』に
演者として出ております。zuzz.hatenablog.com
★中村玉緒
風の愛人の
コマーシャルガール役だった
玉緒さん。
父は二代目中村鴈治郎、
兄は四代目坂田藤十郎、
そして夫は勝新太郎。
育った環境は華やかだし、
これだけの人たちに囲まれてるから
あんな強烈キャラになるわけだわね…
市川監督作品
『ぼんち』では
また船越英二と共演。
▼お父はんも出てます!
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