「この坂登るのも年々しんどくなって。
車ならねぇ…
ちょちょいのちょいなのに」
『歩いても
歩いても』
2008/是枝裕和
盆休みの帰省で
ひさしぶりに集まった
ある家族のおはなし。
絵画修復士の良多は
妻と息子(妻の連れ子)と共に
実家へ帰ってきた。
元開業医のザ・昭和の男な父、
優しそうに見えて毒舌な母、
ちゃっかり者の姉、
やたら調子のいい義兄、
さわがしい姪と甥。
老夫婦だけの
横山家に、
ひさしぶりに
家族がそろう。
並ぶごちそう、
はじける笑い声。
でもそこに
父の病院を継ぐはずだった
兄の姿はない。
彼は15年前に逝ってしまったのだ…
■□■□■□■
『歩いても歩いても』、
中華圏ではまたの名を
”横山家之味”と呼ぶみたい。
たしかに料理が
いっぱい出てくるもんね。
そもそもこの映画、
料理するシーンから始まるしさ。
豚の角煮、
てんぷら、
とうもろこしのかき揚げ、
お寿司にうなぎに
アイスにスイカ…
お母さんと長女が
台所であれやこれや
俗っぽい母娘の会話をしながら
こさえていくんだけど、
野菜の皮むきひとつでも
お母さんはササッと
手際がいいのに
長女はモタモタしてて
その対比がおかしかった。
お盆やお正月は
みんなが集まるからって
お母さんがはりきりがちだよね(笑)
私の家もおばあちゃんが生きてた頃は
なにかと親戚が集まっていたっけ。
ごちそうがいっぱいで
遅くまでにぎやかだったなぁ…
そんなことをふと思い出しました。
■□■□■□■
ごはんのにおい、
風のにおい、
海のにおい、
木々のにおい…
この映画を観ると、
私はいつも
嗅覚を刺激される。
そしてきゅうっと胸がせつなくなる。
”夏のにおい”
って聞いて
何を
思い浮かべますか?
私はね、ビニールバッグのにおい。
小学生が水着を入れるあれです。
あのにおいをかぐと、
プールの水音やはしゃぎ声や
ホイッスルの音が
頭の中によみがえる。
あとはね、
草いきれやにわか雨のあとのにおい。
空気が水気を含んでるから
ムワァっとしてるんだよなぁ…
夏って
日中が暑くてにぎやかなぶん、
日が暮れてだんだん暗く
涼しくなってくると
せつなくなるんだよね。
そして秋が近づくと
よりいっそう
せつなさが増してくるの。
ある意味いちばん
ドラマチックな季節
なんじゃないかと
個人的には思ってます。
■□■□■□■
夏になると
家族の胸によみがえる
苦い思い出。
愛する者の死を
それぞれがどうとらえているかが
巧みに描かれていました。
生きるって
きれいごとじゃない。
この映画には
人間のネガティヴな感情が
たくさん詰まっている。
だからほっこりするとか笑えるとか
そういう作品ではけっしてない。
でもきれいごとを詰め込んだ
お涙ちょうだい物語にせずに
あくまでも
リアルな人物像や
人間関係を描ききっているのが
好感持てたんだよね。
いろんな意味で
私にとって
忘れられない映画です。
「あら、黄色いチョウチョ」
「ああ」
「あれはね、
冬になっても死ななかった
モンシロチョウが
翌年黄色くなるんだって」
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【おまけ その1】
映画の中で
ずっと流れていた、
そよ風にゆれる
カーテンのように
やさしいギターの音色。
調べたら、ゴンチチでした。
どうしてもほしくなって、
いてもたってもいられずに
サントラ買っちゃってました。
これ、
心が弱ったとき
にもいいよ。
ふんわり
包み込んでくれるよ。
▼是枝作品が出てきます!
【おまけ その2】
映画に出てきた
とうもろこしのかき揚げ、
どうしても気になって
さがしてみたらあった!
やっぱりおいしそう…
よし…
今度作ってみるか…
▼コーン缶を使ったかんたんVer.
【今日の知ってる人】
★阿部寛
次男の良多を演じた
阿部さんは
『姑獲鳥の夏』
『魍魎の匣』
に出てましたね。
▼伝説の阿部寛のファンサイトの話が出てきます!
zuzz.hatenablog.com
★夏川結衣
良多の妻だった
夏川さんは
『天然コケッコー』では
お母さん役でした。
『陰陽師』にも出てたね。
★樹木希林
名バイプレイヤー
樹木希林は
いろんな作品に出てますが
うちのブログでは
『日日是好日』のときに登場。
お茶の先生役でした。
★YOU
長女ちなみを演じた
YOUは
『ねほりんぱほりん』で
ぶっちゃけトークしてましたね。
こちらもどうぞzuzz.hatenablog.comzuzz.hatenablog.com
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